ソファやベッドに犬を乗せてはいけない!
という考え方。
犬の飼育本や、先輩飼い主さんから犬をソファやベッドに乗せちゃダメ、と教わった方は多いと思います。たしかに、高い場所への乗り降りによる腰や関節へのダメージや、過度なスキンシップによる動物由来感染症などの心配もありますが、この助言の意図は、問題行動を誘発させてしまう可能性を与えないといったものです。
過度な執着はたしかにキケン!
ふかふか沈んで柔らかい〜♪、しかも高台で気分もいい^^!そんなソファやベッドに仕事で疲れた体を捧げたら、私たちでも、しばらくそっとしといてくれ〜><!と家族にお願いしたくなります。愛犬だって同じです。居心地良い場所を見つけたら、近寄ってきた家族にワンワンっ!もうちょっとここに居させて〜><!とお願いするかもしれません。でも、同じお願いをしても、お父さんと愛犬とではその後の家族の対応が少し違ってきます。外で汗水垂らして色んな匂いのする世のお父さんは、ソファやベッドから即刻退去を命ぜられます。お父さん自身もうすうす分かっての行動なので、はいはいと応じるでしょう。一方の愛犬も色んな匂いや雑菌がありますが、気持ち良さそうだし動かすのは可哀想…、そこで大人しくしているならそれはそれで助かる…、近寄ると吠えるからどうしていいか…と、結果的に許されてしまいがちです。しかし、そのような対応が続くと、犬の持ち前の所有欲や独占欲が助長されその場所に執着するようになります。そして、ソファやベッドの上は自分の指定席というルールが愛犬の中で出来上がってしまいます。家族が近寄ると、ここは自分の場所だっ!とられるもんかっ!近寄ったら唸るぞーっ!噛むぞーっ!ヴゥーーっ!と発展する可能性があるわけです。もはや、放したくないオモチャやとられたくない食べ物を守る行動と同じです。もちろん、個体差やその他の関係性によって問題に至らない場合もありますが、いざという時の手立てがないなら、最初からソファやベッドには乗せない方が得策ですよ、という考え方です。
家族の所有物であることを明確に!
腰や関節へのダメージや、衛生面の心配からソファやベッドに乗せたくないなら、乗せないルールを徹底すべきです。愛犬がソファやベッドに乗ったら、直ちに世のお父さんに示すような毅然とした対応をとるか、ソファやベッドに上がれないよう物理的に工夫をしたりします。一方、それらの問題に気を使いながら、ソファやベッドで愛犬と一緒にくつろぎたいと考えているなら、乗ってもいいルールを決めれば良いと思います。たとえば、ソファやベッドに乗る時は常に家族が先に乗り、最後は愛犬を先に下ろして愛犬だけがソファやベッドに乗っている状態をなくすなど。もし、愛犬が先に乗ってしまったら、世のお父さんに示すような毅然とした対応で一度降ろすか、または、愛犬を端に移動させて愛犬が乗っていた場所に家族が乗るようにしたり。少し堅苦しいですが、ソファやベッドは飼い主さんの所有物ということを愛犬に対して主張し、誤解を生みにくくするためです。また、それに加えて乗り降りの際の指示語を確立できれば、堅苦しいルールは必要なくなるかもしれません。
執着対象はソファやベッド以外にも!
ソファやベッドに犬を乗せてはいけない!というのは、愛犬がその場所に執着することで時に攻撃性が現れる事を危惧した忠告です。しかし、執着対象はソファやベッドに限ったことではありません。ふかふかの絨毯や洗濯物、食べ物、ボールやスリッパ、また飼い主さんの膝の上などにも独占欲や所有欲から執着は生まれ、それを守るために攻撃的になることもあります。だからといって、そられすべてを「触らぬ神に祟りなし」として遠ざけるだけの措置は現実的ではありません。本当の意味で私たち飼い主が困らないためには、やはり、執着対象に勝るより良い関係性を愛犬と積極的に築いていくことだと思います。