屋外の様々な危険から愛犬を守る
お散歩の基本、リーダーウォークとは?
リーダーウォークとは、犬がリードを引っ張らずに飼い主の横を自主的に歩く屋外での移動方法です。リーダーウォークで歩けるようになると、愛犬の安全はもちろん、周囲の犬や人に安心を与えることができます。たとえば、自転車やクルマ、オートバイ、ジョガーとのうっかり接触や、引っ張ることで生じる首や足腰への負担、拾い食いによる不慮の事故、興奮による吠えや飛びつきなどの防止に繋がります。また、小さな子供やお年寄り、犬が怖い方や好きでない方にも余計な不安やストレスを与えずに速やかにすれ違うこともできます。とはいえ、刺激の多い屋外で愛犬がリードを張らずに飼い主さんの横を歩くには、それなりの練習や適切な関係づくりが必要です。
主従関係より信頼関係重視に!
リーダーウォーク(主導的歩行)という言葉は、人がリーダーとなって散歩の主導権を握り、犬はそれに従うといった主従関係の意味合いが込められています。これまで、リーダーウォークに限らず問題行動の予防や改善にも、この主従関係を築くことが重要視されてきました。
しかし近年、この考えのそもそもの由来となったオオカミの研究が進むにつれ、主従関係や群れの序列に関する考え方が徐々に見直されてきました。これまで群れのリーダーは、攻撃性や支配的な振る舞いによってその順位を得るとされてきましたが、現在の研究者や専門家の間では、逆に、劣位の個体が特定の個体に対して自ら服従的なしぐさや振る舞いをとることでリーダーが決まってくるという認識です(劣位階層性)。力による強制や支配ではなく、メンバーから信頼を得ている個体がリーダー的な役割を持つ、つまり私たちの家族とそう変わらない関係性で群れの序列形成がされているということです。
動物愛護・福祉の分野においては後進国の日本でも、現在ではこの考え方が浸透しつつあります。リーダーウォークなどしつけ全般に対して、痛みやショックなどによる半ば強制的な教え方から、報酬(フードやおもちゃ、声掛けなど飼い主さんの関心)を用いて自発的な良い行動を引き出し伸ばすといった、信頼関係を重視したトレーニング方法が主流となってきています。
リーダーは多面的視点で捉える!
“信頼”の意味を調べると「ある人や物を高く評価して、すべて任せられるという気持ちを抱くこと。」とあります。団体スポーツや共同作業のチーム、探検隊、オーケストラ等のリーダーは、責任感や統率力、経験値、コミュニケーション能力、寛容性、協調性、客観性、社会性、育成力・・・、また物事を多面的に(様々な角度から)捉え解決に導く能力によって、メンバーから“すべてを任せられる”ほどの信頼を得ます。犬から信頼を得るにも、この多面的に物事を捉えることが重要です。視点が一方向だけに偏ってしまうと、「愛犬の問題行動にはよく気付くが、良い行動には気付いてあげれてない…」「家中走り回れる自由は与えているが、ルールは与えていない…」「ドッグランやドッグカフェにはよく車で出掛けるが、朝夕の散歩はあまり行かない…」など、信頼関係の悪化や問題行動が発生しやすい状態に陥ります。愛犬に影響を与える自身の行動、愛犬を教育する立場でもあるという認識、愛犬の動物としての欲求など、様々な側面をあらためて考えてあげる必要があります。
飼い主を選べない犬たちは、いやおうなしに飼い主にすべてを任すしかありません。可愛さだけに注視せず、ましてやリーダーだからと力で服従させるでもなく、リーダーが本来持つべき様々な能力を習得し、愛犬からの“信頼”を得ていく責任が私たち飼い主にはあるはずです。リーダーウォークのリーダーとは、愛犬からすべてを任されるために、まずは自分が変わろうと努力できる人のことだと思います。
リーダーウォーク最大のメリット?
「一緒に居れば安心安全、教わる事も分かりやすい、この人と歩いてると何だか楽しい^^!!」。リーダーウォーク最大のメリットは、愛犬のこうした気持ちがすぐに行動に表れ、目に見えない信頼関係がリードを伝ってまさに手に取るように実感できることです。